Renovation / Ogori, Fukuoka

2021.12 / 84㎡(1F部分) , 1LDK

快適な生活リズムを生み出す家

居住性を高めるための大胆な決断

「吹き抜け」と聞くと、その天井高のスケールから開放的な印象を抱きがちですが、戸建て(2階建て)ともなると温度管理やメンテナンスをはじめ、居住性にかかわる諸問題がつきまといます。Mさん夫婦は自邸を見直すにあたり、リビング全体が吹き抜けとなっていた従来の間取りを大胆に変更することにしました。

まずは件(くだん)のリビング。かつての吹き抜け部分に天井を設け、上階(主に寝室など)と下階(キッチン、リビング他)のゾーニングを明確にすることで、以前のリビングが一家団らんの確かな拠点としてクラスアップ。構造上残した壁をレンガ調に、床はモダンなパーケットフローリングを基調に、日当りの良いテラス側の一角を、植物などが置けるインナーバルコニーとしてタイルを配置しました。一方、夫婦のライフスタイルに即した生活動線の確保という視点から、かつてリビングに背を向けていたキッチンは、面積の拡張とともにダイニングスペースを備えるリビング側の向きへと変更。キッチンカウンターを囲む壁は、飲食店の空間デザインを参考に、清潔感のある白タイルを採用しました。

キッチンは調理場であり仕事場

ご主人が営む会社の事務を担う奥様にとって、合理的ともいえるスペースがキッチン内に集約されています。それはキッチンカウンターの背後に設けたワークデスク。単なる空きスペースの有効活用であれば、面積ありきの設計となるところを、3メートル弱ものゆとりをとった机に可動式の本棚まで造作していることからも、奥様がこの空間をいかに重要視したかがうかがえます。PCをはじめ、雑多な書類の散開を問題としない机の広さは、家事動線の延長で業務を並行できるメリットも。眼前の出窓からは柔らかな外光が差し込み、時折景色に目を遣りながらリモートワークに励むことができます。

家族の生活リズムが整う間取り

2階建ての利点の一つに、生活上の「静」と「動」で空間を二分できることが挙げられます。もっとも上下階を区別しない自由な空間配置も醍醐味といえばそれまでですが、M邸の場合は前者がはっきりとしています。なかでもご主人たっての希望で実現したトレーニングルームもその一つ。ウォークインクローゼットを備えたおよそ13平米の空間はまさに「動」を体現した空間。一日の活動的な時間を終えたら、「静」の2階で疲れを癒す。かくして部屋の配置は家族の生活リズムを生み出す重要な選択であることがわかります。

 

カメラマン
広瀬麻子
ライター
瀬口賢一
種別
一戸建てリノベーション
所在地
福岡県小郡市
完成時期
2021.12
施工面積
84㎡(1F部分)
間取り
2LDK → 1LDK

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