Shop Design / Imaizumi, Fukuoka

シャビーな空間があわせもつ 昼、そして、夜の顔

守り続けてきた オーセンティックムード

創業1979年。飲食店ひしめく福岡でいち早くカフェバーとしての業態を確立し、粋人らの社交場として親しまれてきた「MODERN TIMES」。
赤坂けやき通りの一角で長らく営業を続けてきた同店は現在、今泉地区の今泉公園（通称：三角公園）脇に移転を果たし、日中はカフェ、夜はバーの形態による営業を継続しています。
開店からおよそ40年。暖色が照らす席に着き、常連客が思い思いに過ごす空間には、スタンディングやテイクアウトが定着する昨今の“コーヒーショップ”とは趣の異なる時間が流れています。

より多くの世代に親しまれる 空間、そしてサービスを

効率性やスピード感を求められる時代にあっても「MODERN TIMES」は“ゆるやか”な時間と空間づくりを大切に掲げています。とはいえ、若い世代が集まる今泉エリアの地域性やニーズを考慮すれば、従来のオーセンティックなスタイルに付加価値を検討するタイミングにさしかかっているのも事実。
そこで今夏（6月）、「MODERN TIMES」は日中の営業に「,corner（コーナー）」という新たなカフェを迎え入れ、幅広い世代に親しまれる空間へと大きく舵を切りました。

重厚なウッド調でまとめたこれまでの空間をベースに、場所によって薄暗い印象のあった壁面の配色をはじめ、店舗サインやレストルームなどに現代的な要素を表す細かなポイントリノベーションを実施。また、空間テイストを左右する客席（椅子）をデザイナーズに改めモダンに刷新。観葉植物の緑とともに、壁面の所々にアートフレームを設えた点も、高感度の客層が喜ぶ、さり気ない変化のひとつです。一方で、時代とともにすっかり鳴りを潜める愛煙家の喫煙スペース は維持。束の間のリラックスタイムに煙草を喫（の）める喜びは、愛煙家にとってこの上ない魅力といえるでしょう。

メニュー構成に新風！ 昼の営業に「,corner」が入店

大きな変化は空間のみならずフードメニューにも。「,corner」はリノベーションを手がけた「POSS COFFEE」が監修することもあり、同店で人気のテリーヌやチーズケーキなどのスイーツメニューを展開。また、コーヒー豆は客層とノー ブルな空間の雰囲気に合わせて新たにセレクトしています。

加えてランチ構成も一新。かつて今泉公園脇で人気を博したカフェ「モカジャバ」のハンバーガーやナポリタンが当時のスタッフの手により復刻。さらには、福岡の代表的な老舗カレー店で現在、筑前町に店を構える「春日ロッジ」のカレーも日を限定して味わえるなど、他にないフードメニューも期待大。老舗の空間に場所を隔てた老舗の味を持ち込むという斬新なアイデア。パークサイドの2階から眺める心地いい景色とともに、「,corner」が提供する楽しく美味しい“モダンタイム”を堪能あれ。