Full Renovation / Ohori, Fukuoka

2022.02 / 79㎡ , 3LDK

立地性を活かしたナチュラルな居住空間

動線のみに偏らない開放感の引き出し方

窓越しに大濠公園の深緑を望む立地。都心にありながら四季折の自然の営みを間近に感じられる住環境は、都市化がいよいよ勢いづく現在の福岡では稀ともいえます。73平米のフルリノベーションに臨んだAさんは3人家族。育児の只中という観点からも自然と都市の利便性を実感できるこの立地は理想的でした。主に家事を担う奥様の希望と建築士として勤務するご主人の知見をまじえて始まった家づくりのテーマは「木材を有効に取り入れたナチュラルな空間」。視界の大部分というよりは、フローリングや造作家具の一部に木を用いることで、無機質になりすぎない開放的な空間を実現しようという計画です。

色調のバランスこそ洗練さを生む鍵

ジャパニーズモダンや北欧系などと括られるスタイルがそうであるように、木を取り入れた空間を想定する場合、アクセントとして素材の色味をダイレクトに反映することが一般的かもしれません。ところがA邸は、天井や壁面の色味・質感との調和からハーフトーン(グレー系)の木材を採用。色味を同系とすることで生まれる洗練さは言うまでもなく、左官(塗り)で仕上げた天井・壁とフローリングの木調が程よく溶け合うことにより、モダンな印象が際立ちます。「色調を合わせる」。その至ってシンプルな工夫が、異なる部材同士を引き立てることにつながりました。

合理的な家具の造作で有効スペースを確保

A邸を象徴するバルコニーに面した大きな窓。ガラス越しに映える緑豊かな風景をあたかも一枚の絵のように愉しむために、Aさん夫妻はベンチ型収納を設えることでリッチな“フレームビュー”を実現しました。加えて見付(みつき)内には、大型スクリーンにもなるロールブラインドが隠れており、状況に応じて様々な活用ができる点も魅力です。間取りに沿った造作家具はこの他にも、飾り棚や書棚、靴棚などを設けた一方、キッチンカウンター内部やバスルーム壁面を有効に使うニッチ(壁面にくぼみをつけたスペース)収納にもAさん夫妻のこだわりを垣間見ることができます。

 

カメラマン
広瀬麻子
ライター
瀬口賢一
種別
フルリノベーション
所在地
福岡県福岡市中央区大濠
完成時期
2022.02
施工面積
79㎡
間取り
3LDK

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