Shop Design / Hakata, Fukuoka

2022.02 / POSS COFFEE

あらゆる創造が出会い、響き合う場所

 

賑やかな埠頭を望む、新たな開放空間

ベイサイドプレイス博多。この場所は、日本初の「ボードウォーク」(木製の遊歩道)をもつ本格的なウォーターフロント施設として、隣接する博多港埠頭旅客ターミナルの利用客をはじめ、国際色豊かな賑わいを生み出してきました。

B館1階に開業した「POSS COFFEE」は、ドリンクやスイーツを供する従来の形態はそのままに、それまでの薬院エリアから空間スケールを拡大し移転リニューアルを果たしました。目の前に渡船場と海を望むエキサイティングなロケーションは、開放感という点で十分なスケール条件を満たしているものの、その変化に“拍車”をかける理由の一つこそ、ローカルのコーヒーショップとしては最大級となる約30坪(99㎡)の広々とした面積です。四方をガラスで囲う空間が、前方に開けたデッキと地続きであることを実感させます。

カフェの枠に収まらない もうひとつの“顔”

「カフェから始まる何か」。新生「POSS COFFEE」の真骨頂は、ひと息つく場の機能に加え、空間を起点とする様々な「表現の交流」にあります。店内の装飾を削ぎ落とし余白のある空間としたのも、物のつくり手やアート表現に挑むクリエーターのためのギャラリーという側面を打ち出すため。ミニマルな四方の壁面は左官仕上げ。一般的なアートギャラリーに見られる無機質でフラットな白壁と比べ、ところどころに現れるテクスチャーが、創造力をかき立てるアートボードとして独特の存在感を放ちます。

一方、試行を重ねて造作したイートイン用のカウンターテーブルや箱形の椅子もあらゆるイベントに合わせてフレキシブルに可動。平時の席数はおよそ35。広さの割に控えめな席数で構成することで、どんな場面・形態においてもお客様同士の間隔を保ちながら、円滑なやりとりが生まれるようにしています。

集う人が一体となれる 心踊るプラットフォームに

何かを表現したい人がイメージを描きやすい空間。そのテーマは同時に、実際に店を動かしていく現場スタッフとモチベーションにも関係する部分でした。事実、店舗面積の約1/3を占める巨大なキッチンをオープンスタイルとしたことがそのすべてを物語っています。お客様とスタッフの目線が同じになることは、空間としての一体感やライブ感を生みやすくする一方で、ホスト側(スタッフ)の仕事がゲスト側(お客様)から常に「見られる」状態にもあるということ。言うなれば、必然的に高まる多方面への意識が、スタッフのサービス力のみならず、お客様とのコミュニケーションを得る機会にもつながっているのです。

お客様、表現者、そしてスタッフがひとつの場所で交錯し合う新生「POSS COFFEE」。日夜さまざまな情景をみせる“ベイサイド”とあり、店では現在のカフェ中心のメニューから、時間帯別のサービスも計画中。また、6月からは空間でのイベント展示も本格的に始動します。店名の由来にもなった「Possibilitas(=可能性)」を胸に、「POSS COFFEE」はここ“港”をプラットフォームに、福岡のローカルシーンに新たなカルチャーを発信します。

カメラマン
広瀬麻子
ライター
瀬口賢一
店舗名
POSS COFFEE
種別
店舗デザイン
所在地
福岡県福岡市博多区筑港本町
完成時期
2022.02
施工面積
99㎡

View All Design

What we do

リノベーションデザインとショップデザインに加え、物件探しからローンのアドバイスまで、
不動産に関するご相談にトータルで対応しています。まずはご相談ください。